知的財産の出願手続き:制度の概要 特許 実用新案 意匠 商標


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出願手続

特許制度(国内)の概要

1. 産業財産権

人間の知的創造活動の成果を保護するために法律が認める権利は「知的財産権」と呼ばれ、多くの種類の権利があります。これらの知的財産権のうち以下に挙げる4つが「産業財産権」と呼ばれています。

【 産業財産権 】
特許 殆どあらゆる分野の技術的アイデアを保護する権利
実用新案 技術的アイデアで特に物品の形状、構造、組合せを保護する権利
意匠 物品の美的デザインを保護する権利
商標 商品やサービスに付ける名称、マークを保護する権利

2. 出願の効果とコスト

有効な産業財産権を取得するには、特許庁に所定形式で出願書類を提出して、厳正な審査をパスしなけれぱなりませんし、費用も多くかかります。
しかしそれは、開発した新技術や新製品を他社の模倣から保護して、企業の競争力の維持と強化に貢献するものとして大変重視されています。

ウィルフォートでは、将来自社にとって有意義な権利を生むために、出願の準備段階で「どのような内容の権利を、何の目的で、どのような作戦で」取得すべきかを吟味し、御社の競争力の強化に貢献いたします。

特許出願の流れ

1. 出願

特許権を取得するためには、特許庁に対して特許出願を行う必要があります。日本においては、同じ内容の発明が複数出願された場合には、先に出願した方に権利が認められますので(先願主義)、発明の内容が固まったらなるべく早く出願することが重要です。

2. 出願公開

出願日から1年6カ月後に、出願内容が公開されます。この内容は、特許庁のHPから確認できます。また、出願人の請求により、早期の公開も可能です。

3. 出願審査請求

出願の内容を権利化したい場合には、審査官に実体審査を開始するための出願審査請求が必要になります。 出願日から3年以内に出願審査請求をしなければ、その特許出願は取り下げたものとみなされてしまいます。 誰でも(その特許出願と無関係でも)行うことができます。 なお、出願審査請求の際には特許庁に対して手数料を支払う必要があります。

4. 実体審査

出願審査請求がされると、審査官は実体審査を行います。特許法に規定される特許要件としては、以下のようなものがあります。
1. 自然法則を利用した技術的思想の創作であること
2. 産業上利用可能であること
3. 出願前に一般に知られていないこと(新規性)
4. 容易に発明をすることができないこと(進歩性)
5. 先に出願されていないこと(先願主義)
6. 公序良俗に反しないこと 7. 法令に従った記載がされていること

5. 拒絶理由通知

実体審査の結果、このままでは特許にすることができないと審査官が判断した場合には、その理由が出願人へ通知されます。これを拒絶理由通知といいます。出願人には、拒絶理由通知の発送日から60日以内に反論や出願内容の補正など、拒絶理由を解消するための応答をする機会が与えられます。

6. 拒絶査定

拒絶理由通知に応答しないか、あるいは応答してもなお特許にすることができないと審査官が判断した場合には、その出願を拒絶する旨の査定が行われます。これを拒絶査定といいます。

7. 拒絶査定不服審判

拒絶査定の内容に不服がある場合には、出願人は発送日から3ケ月以内に下記の拒絶査定不服審判を請求することができます。 拒絶査定不服審判の請求と同時に出願内容を補正することもできます。その場合には、審判手続の中で審査官による審査が再度行われます(前置審査)。  拒絶査定不服審判では、拒絶査定を出した審査官ではなく、複数の審判官(審判官の合議体)により、再度特許とするか否かが判断されます(審決)。  なお、審決の内容に不服がある場合には、出願人は、知的財産高等裁判所に対して不服を申し立てることができます(審決取消訴訟)。

8. 特許査定

審査の結果、拒絶理由が発見されない場合、又は、拒絶理由通知に対する出願人の応答より拒絶理由が解消された場合、審査官はその出願を特許とすべき旨の査定を行います。これを特許査定といいます。

9. 特許料納付

出願人は、特許査定の発送日から30日以内に、その年から3年分の特許料を納付する必要があります。特許料を納付しないと、出願自体が却下されてしまいます。

10. 特許登録

特許料が納付されると、特許権が設定登録されます。設定登録後、出願人には、特許証が交付されます。 設定登録された特許の内容は特許公報に記載され、公開されます。

11. 特許権の存続期間及び権利の維持

特許権の存続期間は、原則出願日から20年間です。しかし、特許料を納付し続けないと効力を失ってしまいます。 なお、設定登録前に1〜3年分は納付するので、納付が必要となるのは4年目からです。 特許料の納付は年1回ですが、数年分をまとめることもできます。 また、納付期限は、各年の設定登録と同じ月日となります。万が一納付期限に間に合わなかった場合でも、期限から6ケ月以内に倍額を納付することで権利を維持することができます。それもできなかった場合、特許権は納付期限にさかのぼって消滅します。

特許取得フロー

特許取得フロー

実用新案出願の流れ

1. 出願

実用新案権を取得するためには、特許庁に対して実用新案出願を行う必要があります。特許出願の場合とは異なり、必要な書類に図面が含まれる点と、出願時に、出願手数料とともに3年分の登録料を納付する必要がある点に注意が必要です。

2. 基礎的要件の審査

実用新案制度には出願審査請求制度はなく、新規性・進歩性に関する実体審査も行われません。 審査官は、方式審査の後、基礎的要件の審査を行います。審査の結果、不備が認められた場合、補正命令が発行され、補正がなされない場合には出願自体が却下されてしまいます。 基礎的要件としては、以下のようなものがあります。
1. 物品の形状、構造、または組み合わせに係る考案であること
2.  公序良俗に反しないこと
3.  法令に従った記載がされていること
4. 明細書又は図面に必要な事項が明確に記載されていること

3. 実用新案登録

基礎的要件の審査で不備が認められなければ、実用新案権が設定登録されます。 設定登録された実用新案の内容は登録実用新案公報に記載され、公開されます。

4. 実用新案技術評価書

実用新案権は実体審査を行わずに登録されるため、新規性・進歩性などの要件を満たしていない場合もあります。 そこで、新規性・進歩性などに対する技術的評価が必要な場合には、特許庁へ実用新案技術評価請求を行い、審査官による技術評価書の作成を求めることができます。 特に、登録された実用新案権に基づき、差止請求や損害賠償請求といった権利行使をする際には、この技術評価書を事前に提示して警告しなければなりません。 実用新案技術評価請求は、出願後であればいつでも誰でも請求でき、また作成された技術評価書は誰でも閲覧できます。

5. 実用新案権の存続期間及び権利の維持

実用新案権の存続期間は、出願日から10年間です。しかし、登録料を納付し続けないと効力を失ってしまいます。 なお、出願時に1〜3年分の登録料を納付するので、納付が必要となるのは4年目からです。 登録料の納付は年1回ですが、数年分をまとめることもできます。また、納付期限は各年の設定登録と同じ月日となります。 万が一納付期限に間に合わなかった場合でも、期限から6ケ月以内に倍額を納付することで権利を維持することができます。それもできなかった場合、実用新案権は納付期限にさかのぼって消滅します。

実用新案取得フロー

実用新案取得フロー

意匠登録出願の流れ

1. 出願

意匠権を取得するためには、特許庁に対して意匠登録出願を行う必要があります。 日本においては、同一または類似の内容の意匠が複数出願された場合には、使用の先後にかかわらず先に出願した方に権利が認められますので(先願主義)、意匠の内容が固まったらなるべく早く出願することが重要です。 意匠登録出願の際は、願書に登録を求める意匠に係る物品名を指定し、その意匠を記載した図面(各図同一縮尺で、正面・背面・右側面・左側面・平面・底面の六面図)を添付します。

2. 実体審査

意匠登録出願がされると、審査官は実体審査を行います。意匠法に規定される登録要件としては、以下のようなものがあります。
(1)物品の形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの(=意匠の定義)であること
(2)工業上利用できる意匠であること
(3)その意匠が公然知られたものと同一または類似でないこと(新規性)
(4)その意匠が容易に創作できたものでないこと(創作非容易性)
(5)公序良俗に反しないこと
(6)他人の業務に係る物品と混同を生じるおそれがないこと
(7)物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠でないこと
(8)最先の出願であること(先願主義)

3. 拒絶理由通知

実体審査の結果、このままでは意匠登録することができないと審査官が判断した場合には、その理由が出願人へ通知されます。 これを拒絶理由通知といいます。出願人には、拒絶理由通知の発送日から40日以内に反論や出願内容の補正など、拒絶理由を解消するための応答をする機会が与えられます。

4. 拒絶査定

拒絶理由通知に応答しないか、あるいは応答してもなお意匠登録することができないと審査官が判断した場合には、その出願を拒絶する旨の査定が行われます。これを拒絶査定といいます。

5. 拒絶査定不服審判

拒絶査定の内容に不服がある場合には、出願人は発送日から3ケ月以内に下記の拒絶査定不服審判を請求することができます。 拒絶査定不服審判では、拒絶査定を出した審査官ではなく、複数の審判官(審判官の合議体)により、再度意匠登録するか否かが判断されます(審決)。 なお、審決の内容に不服がある場合には、出願人は、知的財産高等裁判所に対して不服を申し立てることができます(審決取消訴訟)。

6. 登録査定

審査の結果、拒絶理由が発見されない場合、又は、拒絶理由通知に対する出願人の応答により拒絶理由が解消された場合、審査官はその出願を意匠登録すべき旨の査定を行います。これを登録査定といいます。

7. 登録料納付

出願人は、登録査定の発送日から30日以内に、初年度の登録料を納付する必要があります。登録料を納付しないと、出願自体が却下されてしまいます。

8. 意匠登録

登録料が納付されると、意匠権が設定登録されます。設定登録後、出願人には、意匠登録証が交付されます。 登録意匠の内容は意匠公報に記載され、公開されます。なお、出願時又は登録時における出願人の請求により、意匠登録後3年以内の期間を指定して意匠公報を非公開にすることもできます(秘密意匠制度)。

9. 意匠権の存続期間及び権利の維持

意匠権の存続期間は、設定登録の日から20年間です。しかし、登録料を納付し続けないと効力を失ってしまいます。 登録料の納付は年1回ですが、数年分をまとめて納付することも可能です。また、納付期限は、各年の設定登録と同じ月日となります。 万が一納付期限に間に合わなかった場合でも、期限から6ケ月以内に倍額を納付することで権利を維持することができます。それもできなかった場合、意匠権は納付期限にさかのぼって消滅します。

意匠法特有の制度

◆部分意匠◆ 部分意匠制度とは、物品全体ではなく、物品の部分について意匠登録できる制度です。 部分意匠制度を利用すれば、1つの物品に係る意匠の中に独創的で特徴ある創作部分が複数個所含まれている場合であっても、その一部分のみについて意匠登録の対象となります。
◆組物の意匠◆ 意匠登録出願は原則として経済産業省令に規定された物品の区分により、意匠ごとに1つの出願を行う必要があります(一意匠一出願)。 これに対して、組物の意匠制度を利用すれば、一組のコーヒーセット、一組の筆記具セットなどのように、複数の物品の組み合わせで一組として扱われることの多い物品については、 経済産業省令に規定されたものに限り、全体としてデザインに統一がある場合に1件の意匠として出願し、意匠登録を受けることができます。
◆関連意匠◆ 意匠登録出願は原則として同一または類似の意匠が複数出願された場合には最先の1件のみが意匠登録を受けることができます。 これに対して、関連意匠制度を利用すれば、自己の出願した意匠のうちから一つの意匠を本意匠として選択し、これに類似する意匠を出願した場合には、意匠登録を受けることができます。 これにより、デザインにマイナーチェンジを加えたり、バリエーションを作成したりした場合に、より広い範囲で権利保護を受けることが可能になります。 関連意匠は、本意匠の出願の日から、本意匠の登録公報発行までの間に限り出願でき、その存続期間は本意匠の存続期間に従います。

意匠取得フロー

意匠取得フロー

商標登録出願の流れ

1. 出願

商標権を取得するためには、特許庁に対して商標登録出願を行う必要があります。 出願の際には、登録を求める商標、および商品・サービス(役務)の具体的内容を指定することが必要です。 同一または類似の内容の商標が複数出願された場合には、使用の先後にかかわらず先に出願した方に権利が認められますので(先願主義)、使用する商標が決まったらなるべく早く出願することが重要です。

2. 出願公開

出願後、出願の内容が公開されます。出願内容は、特許庁のHPで確認することができます。

3. 実体審査

商標登録出願がされると、審査官は実体審査を行います。商標法では、登録することができない商標の類型を列挙して規定していますが、大きく分類すると、以下のようになります。
(1)自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
(2)公共の機関の標章と紛らわしいなど公益性に反するもの
(3)他人の登録商標や著名・周知の商標と紛らわしいもの
なお、(3)については、商標の外観(見た目)、称呼(読み方)、観念(意味)が総合的に判断されます。

4. 拒絶理由通知

実体審査の結果、このままでは商標登録することができないと審査官が判断した場合には、その理由が出願人へ通知されます。 これを拒絶理由通知といいます。出願人には、拒絶理由通知の発送日から40日以内に反論や出願内容の補正など、拒絶理由を解消するための応答をする機会が与えられます。

5. 拒絶査定

拒絶理由通知に応答しないか、あるいは応答してもなお商標登録することができないと審査官が判断した場合には、その出願を拒絶する旨の査定が行われます。これを拒絶査定といいます。

6. 拒絶査定不服審判

拒絶査定不服審判では、拒絶査定を出した審査官ではなく、複数の審判官(審判官の合議体)により、再度商標登録するか否かが判断されます(審決)。 なお、審決の内容に不服がある場合には、出願人は、知的財産高等裁判所に対して不服を申し立てることができます(審決取消訴訟)。

7. 登録査定

審査の結果、拒絶理由が発見されない場合、又は、拒絶理由に対する出願人の応答により拒絶理由が解消された場合、審査官はその出願を商標登録すべき旨の査定を行います。これを登録査定といいます。

8. 登録料納付

出願人は、登録査定の発送日から30日以内に、登録料を納付する必要があります。登録料を納付しないと、出願自体が却下されてしまいます。 登録料の納付は、存続期間10年間分を一括納付するか、5年間分ごとに分割納付するかを選択できます。分割納付する場合は、存続期間が5年経過する前に残りの登録料を納付する必要があります。

9. 商標登録

特許料の納付がされると、商標権が設定登録されます。設定登録後、出願人には、商標登録証が交付されます。登録商標の内容は商標公報に記載され、公開されます。

10. 商標権の存続期間及び権利の維持

商標権の存続期間は、設定登録の日から10年間ですが、更新登録申請を行うことにより、さらに10年間存続期間を延長できます。 更新登録申請は何度でもできるので、永続的に権利を維持することもできます。 更新登録申請は、商標権の満了の6ヶ月前から満了日までに行わなければなりませんが、万が一満了日を過ぎてしまった場合でも、満了日から6ケ月以内に倍額を納付することで更新登録申請をすることができます。 それもできなかった場合、商標権は原則通り満了日をもって消滅します。 更新登録申請時の登録料の納付についても、登録時の場合と同様に、存続期間10年間分を一括納付するか、5年間分ごとに分割納付するかを選択できます。 なお、商標権者には登録商標の使用義務があり、3年間継続して使用していない場合、不使用取消審判を請求され、商標権が取り消されてしまうこともあります。

商標取得フロー

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